防災ギター

今年の防災白書


今年度版の防災白書が6月11日に閣議決定されました。新型コロナ感染拡大を反映して、避難先の多様化について言及されています。

これまで避難するという概念は、自治体指定の避難所へ向かうイメージでしたが、今後は「3密」を避ける考え方から、自治体指定避難所の他に、ホテル・旅館の客室利用、各省庁の研修施設、そして安全確保できる場合は自宅も分散避難の選択肢として明記されています(日本経済新聞2021年6月12日)。

これまでの自治体指定の避難所は、数か所の避難所に地域住人を集められたために、避難生活の運営全体が把握しやすかった一方、住民間のストレスや考え方の相違によるトラブルも発生しがちでした。今後、分散避難の動きが定着すると、そのようなトラブルが発生する可能性は減るものの、住民全体の所在や健康状態などをどうやってリアルタイムに把握していくか、自治体からの連絡の周知の方法など新たな課題にも今後取り組んでいく必要性を感じました。

今回の防災白書では、地域の住民や企業がつくる「地域防災計画」が浸透してきていることにも言及されています。地域防災計画は13年の災害対策基本法改正で創設されました。地域の実情に合わせて高齢者をどう避難させるかなど地区レベルであらかじめ決めておく「自助・共助」の仕組みづくりが少しずつ根付いてきていることはいいことだと思いました。

防災や避難の考え方も新型コロナ禍を受けて、色々な観点に立って、今一度見直しが求められてきている気がします。このコロナ禍を良い機会ととらえて、将来の防災の新しいあり方を考えていきたいと思います。