防災ギター

ある朝の『天声人語』を読んで:「落ち着くのはまだ早い」


「365日の紙飛行機」を最初に弾き語りしたいと思ったのは、子供の小学校の授業参観へ行った時でした。低学年の教室から先生と生徒たちが、この曲を歌っているのを初めて聴いて、素直にいい曲だなと思いました。特に「・・・その距離を競うより どう飛んだか どこを飛んだのか それが一番 大切なんだ・・・」という歌詞は、当時身の周りで色々なことが起こっていて、自分にぐっとくるものがありました。

それから間もなく、ある音楽教室の体験レッスンに飛び込み、アコギ担当のY先生に「3か月後の4月上旬、この曲をアコギで弾き語りしたいのですができますか???・・・」と尋ねたら、Y先生が簡単なギターコードを使って弾けるオリジナルの楽譜を書いて作ってくださいました。わずか3カ月で、本当に弾いて歌うことができるのか半信半疑でしたが、Y先生を信じ、頑張って練習しました。

そして謝恩会の本番まで残り1か月余り、焦りと不安が大きくなってきたある日、朝刊の記事が眼に留まりました。これを読んだ時、「そう!これだ!」と感じました。それは、2017年3月14日朝日新聞・朝刊の「天声人語」でした。謝恩会当日に向けてギアチェンジし、一気に加速して練習、疾走した1カ月はあっという間でした。以下、その新聞の一部を抜粋して記します。

『友人からは「いい年して今更、なぜ社交ダンスなど習うんだね」とあざけられる。妻からは「年より冷や水」とあざけられる。・・・(中略)・・・サッカーの三浦和良さんがJリーグ史上初めて50歳でゴールを決めた。頭に白いものが混じりながらの疾走である。得点の後、独特のステップを踏むカズダンスも健在だった。三浦さんは最近、雑誌「Number」でこう語っている。「身体の衰えはあるにしても、思っていること、やりたいことは若い頃から何も変わっていないんです」。試合に出られない悔しさは30年前と変わらないとの言葉もあった。・・・(中略)・・・誰もがカズのように走り続けられるわけでもない。それでも、彼の姿を見ていると、「落ち着くのはまだ早い」と背中を押される気がしてくる』                                                                                                (2017年3月14日朝日新聞・朝刊「天声人語」から一部を抜粋)